近、何でもかんでもぺらぺらしゃべったり、ブログに書き込んだりして墓穴を掘る人がマスコミを賑わすことが、多くなりました。万人が「そうだ。その通りだ。良く言ってくれた」と言うのであれば問題ないと思いますが、大抵の場合、人によって見方が変わるケースが多いのではないでしょうか?例えば、外交において交渉過程をレポーターに聞かれるまま、全部さらけ出したのでは相手にも情報が筒抜けになり、まとまるものもまとまらなくなるのではないかと思います。
こうした中で、どこかで標題のことをいっている本を読んだことがあった気がしましたが、なかなか思い出せません。ようやくネットで見つけた本の題名が「哲学への回帰」です。哲学者の梅原猛氏と稲盛和夫氏の対談という形になっています。(現在廃刊となっているため、別の本で引用されたのを読んだのかもしれません。)気になったのでネットで古本を注文し、あらためて読んでみました。
京都セラミックという会社をつくっていただいたNさんに、稲盛氏が仕事でいろいろな指示を出さなければならないときに、Nさんに相談しましたら、こんなことをおっしゃった。「稲盛さん、ウソをいったらあかんよ。しかし、ほんとのことをいわんでもいいんだよ」私(稲盛氏)はそれをきいて飛び上がるほどうれしかった。私も子どもの頃からウソは絶対につくなと両親から厳しく教えられていたので、経営者になっても、ウソをいったらいけないと、心からそう思っていました。しかし、経営する上では企業秘密に関することや人事に関することなど、時には本当のことをいいづらいケースも出てきます。(中略)最低限「ウソはつかない」という態度は貫くが、しかし洗いざらい本当のことをいわないで、事態の打開を図ることはできる、というものだったのです。本当のことだけをいっていたら、どこもかしこも敵ばかりという危険性もありますし、(中略)聞かれもしないのにペラペラと本当のことをいって、自分を窮地に陥れる必要はありません。
以上です。ちなみにNさんとは旧制新潟高校から京都大学工学部の電気科を出ておられる方です。いろいろな逸話のある方です。私はフルネームで名前はわかりますが、本においてもNさんという表現を使っていますのであえて本当の名前は明かしません。
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